仕事の帰り道に信号待ちをしていると目に飛び込んで来た看板。
毎日通っているのに、初めて気が付く私も私だけど、エヒメアヤメってなんでまた。
しかも、自生地って!
自生地ってことはさぞかし野趣溢れる自然に囲まれた所に、所狭しと群生したエヒメアヤメを妄想。
「ちょっと見てみたい」
そんな軽い好奇心で私は看板の矢印が指す方向へ。
看板を立てた方の思惑通りに動く私。
まさか、あんなにハードな展開になるとは夢にも思わず・・・。
勝手に、すぐそこにあるという思い込みで向かったのですがなかなか付かない。
看板だけは
「あきらめないで!!こっちよ!!」
と言わんばかりに点在してあり、宝探しでもする心境で矢印の向くまま走らせる。
5分くらいバイクを走らせたでしょうか。
やっと到着。
しかも、山の中へ行かないといけない様子・・・。
まあ、すぐそこにあるだろう。と、また軽い気持ちで駐車場にバイクを止め、
この細い階段を上がって行く。
すると・・・
じ、ジブリですか?
なかなかちょっと「わーい!」って手放しに飛び込んで行けない山へ入る道。
ジブリ映画のように、この山道を抜けたら不思議な生き物がウヨウヨといて、カエルとかに話しかけられたりしちゃって、怖がる私を不思議そうに取り囲むと、そこを取り仕切る人が登場。私がよそ者で悪い奴に違いないから捕らえようってことになり大混乱になったところに、その不思議な生き物の中でもシュッとした素敵な感じの人が
「こっちだ!!」
と私を救ってくれて、しばらくその人の厄介になって、なんだか自然は大事よねーって最後は感動的にお別れする。
そんな雰囲気。
・・・。
どんな雰囲気だよ!
まあとにかく、ここまで来たのだしこの道を抜けるとすぐだよきっと^−^
って歩き進む。
まだだった・・・。
歩いても歩いても着かなくて、ホーホケキョときれいなウグイスが鳴く声と、風の騒ぐ音だけが響いている。
自然な静けさなんだけど、ひとりぼっちでちょっと心細い。
そして、どれくらい歩いただろうか。
途中開けた場所に来て、ここか?と思ったらまだ中間地点。
もう、ぜーぜーはーはーと息も荒くなり汗が額に滲む。
その開けた所をさらに突き進むとやっとこさ、
本当の入り口発見;;
ここの管理をしている人に「いらっしゃい」と出迎えられ、最初にイメージしていたエヒメアヤメが所狭しと咲き乱れるイメージが出来上がってしまっていた私の前に現れたのは、
アヤメはどこかしら。
なんだかイメージしたのと全然違っていたので、これまでのハードな道のりもあり拍子抜けしてしまったけど、これこそリアルに自然なんだわ。
先に来ていたご婦人達が「こっちにある」などと話しているので、近くに行くとエヒメアヤメ咲いていました。
可憐に、ひっそり。
うーん綺麗。
小さいけど、自生してるんだからねこれ。
ガーデニングとか柔な環境で咲いてる訳ではない、本当に自然のアヤメ。
このエヒメアヤメは頂いた資料によると、中国大陸を分布の中心とするアヤメ科の多年草で、氷河期に日本列島が朝鮮半島と陸続きであったことを植物学的に証拠と示す貴重なものだそうで。
わお!!
その名の通り、愛媛で最初に見つかったからエヒメアヤメと言うそうです。
西日本に多くあるようで、4月下旬に紫色のこんな花が咲く。
まだどれも小さかったけど、もっと大きくなるのだろうか。
そうすると、もっとうわーーって咲くってことなのかな。
係りの人に聞けばよかったなぁ。
地元にこんな天然記念物があるなんてちっとも知らなかったよ。
しかも広島県で最初に発見されて国の天然記念物だって!
35年この地に住んでいるが、話題にも上りませんでした。
しかも、どうしてこんな山奥に誰が入ったんだろうか。
イノシシ狩りにでも行ったのかな。
いやでもエヒメアヤメの存在を知る人でない限り、
「ただの花じゃん」
って終わってしまう。
こういう花があるって知っていて、
「こ、これはもしかして!!!」
とならなければ天然記念物として扱われなかったわけで。
広島にないものと思われていたこの花がどのようにして見つかって、どれだけ当時盛り上がったのだろうか。
いろいろ想像しつつ背中に汗が流れ落ちるのを感じながら下山。
すっかり汗だくになってしまったけど来て良かったわー。
あのあっちこちにあった看板に気付かなければ、一生気が付かなかったかもしれない。
いやぁー、看板って凄いねー!
看板の威力に脱帽><
って、エヒメアヤメより看板に感動してる!!
もちろん、エヒメアヤメも素敵でしたよ。
でも看板も大事だね!(しつこい)