枡野浩一さんの”僕は運動おんち”が面白かったから、これも読んでみた。
ショートソング (集英社文庫)
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そもそもが枡野さんが歌人なんだよね。
イケメンだけど童貞の国友君と、若くして才能を認められたものの過去の自分とのジレンマが続く伊賀さん。
2人の視点で話が交互に綴られている小説。
同じ話軸を、伊賀さん目線、国友君目線で進行していく展開はなかなか面白い。
読み進みながらすっかり感情移入。国友君にも伊賀さんにも。
純粋な国友君と百戦錬磨の伊賀さんの恋愛事情も面白かった。
何より「短歌って面白いな。」につきる。
使われている短歌は実際に様々な歌人が読まれたもので、どれも私には新鮮で、あんな短い内容で情景が頭に浮かんでくるってのは本当にすごいなって。
枡野浩一さんの
「こんなにもふざけたきょうがある以上どんなあすでもありうるだろう」
とか
佐々木あららさんの
「土砂降りの夜のメールでとんでいく 僕という字は下僕の僕だ」
とか凄いよね!
他にも、背景がパッと浮かんでくる強烈な短歌が盛りだくさん。
佐藤真由美さんの
「今すぐにキャラメルコーン買ってきて そうじゃなければ妻と別れて」
なんて、どんだけ小悪魔!!!よ。
ゾクっとしたわ。色っぽくて。
とにかく短歌が面白すぎてのめり込んじゃいました。
そして、普通の文章の部分もうっかり57577のリズムで読んでしまったりしてたよ。
「痩せたいな食べたい自分を隠せずに 何かのせいにしようとしてる」
詠んでみた。しょぼいわ。
あんな瑞々しい短歌を詠めるほどの才能はないようです。
とにかく短歌っていうか現代短歌に魅せられた私は、さらに枡野さんの著書をアマゾンで購入したのでありました。
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